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( ^ω^)は28歳になったようです 五話

――最初は、記憶が失われたのだと思った。でも、違った。
思い出せなくなるという事は、記憶を失う事じゃない。
記憶に張り付いていたはずの付箋が取れてしまった状態なんだ。

だから、何かの拍子に思い出す。
ちょっとしたヒントさえあれば、記憶は容易く蘇るんだ。

五話『忘却』



それを見つけたのは、ボールペンを捜して引き出しを漁っていた時の事だった。

( ^ω^)「……これって、なんだお?」

ボクが見つけたのは安っぽい、小さな箱。
ずっと昔に見た記憶が有るような無いような。
  _,
( ^ω^)「うーん……思い出せんお」

少しばかり記憶を掘り起こしてみたが、思い出せない。
この引き出しはほぼボク専用だから、ボクが仕舞ったのだろうが全く以って脳内検索に引っ掛からない。

これが元々何の箱だったのかすら思い出せない。
ジョルジョの家にあったアクセの箱と同じサイズな感じだが、そういった類を買った記憶も無い。

( ^ω^)「うむむ……」

開けて確かめるのが一番手っ取り早いのだろう。
しかし、いきなりそれをやるのは些か無粋な気がする。

揺すってみれば、カタカタ、という音。
それはつまり、中一杯に何かが詰まっているという訳では無いという事。
そして、それなりの硬さを持った物であるという事。

( ^ω^)「……十円?」

最初に浮かんだのがそれ。
が、それはすぐさま否定される。あの時の十円はその場で使ってしまった。
ハインの言葉の意味を理解した時、深く後悔したせいで覚えている。

( ^ω^)「うー……ん?」

何かヒントは無いかと箱をひっくり返してみれば、ボクの字で書かれた一つの言葉。
若く青く純粋だった頃のボクは、その言葉がどれほど人の好奇心を揺さぶるのかを知らなかった。
ただ、こう書いておけば、もし見つかっても『ああ、見ちゃいけないんだな』とそっと仕舞ってくれると信じていた。

その言葉は記憶の鍵。
幾重にも巻かれた束縛を解く為の鍵。

その言葉は只一言。
若さ故の過ちを簡潔に纏めた一言。

その言葉は――見ちゃいやん。

(; ω )「…………ゲドラフ」

思い出した。思い出してしまった。
手から力が抜け、箱は床へと転がり落ち、その蓋は開かれた。

転がり出たのは、最近見なくなった旧式のSDカード。
それ自体は何の問題も無い。更なる中身が問題なのだ。

(*∩ω∩)「ぉぁぁぁぁぁぁぁ……」

過去が牙を剥いた。
思考が羞恥に染まる。

中身は、エロ本を手にするまで集めに集めたエロ画像。
データ容量満杯になるまで収集したその量たるや数千枚。

封印などせず、消していればこのような事態など起きはしなかっただろう。
ボクとてそれは理解していた。だが、消せなかった。
消そうとする度に、思い出が蘇るのだ。

ああ、この画像を取った時は風邪を引いて熱で朦朧としていた。
この画像を取った日は、ジョルジョのチャックが一日中全開だった。
おっと、あのエロ画像を入手するまでに何度偽リンクを踏んだだろうか――

――このSDカードに詰まっているのはエロ画像だけではない。
ボクの様々な思い出が一緒に――

(*∩ω∩)「ぉぅぉぉぉぉ………」




∩( ゚ω゚)∩「ぉぉぉおおおおおっ!」



       ∩          ∩           / )
       / /   ∩      / /          / /
     ./ /    .|キ    / /           / /
     / /    | |    ./ /           / / 「おおおおおおお!」
     / /     ./ /   / /   ミ 、/)   / /        , -つ ビシィッ!
    / / ゚ω゚)/ /   / / ゚ω゚) X /   / /*゚ω゚)  ./__ノ
    |      /   |      ,二/    /    \ / /  !.!.!
    |    /     |    /       |    へ/ /   川
    |   /⌒l    |   /⌒ヽ      |    レ' /、二つ
     | / ./ .|    |  / , へ \/つ  |  / /
     ヽ   | /    |   /   X _ノ  |   /
     | ゙ー'| L     ト-イ       !!!  ト-イ
     |  /(_  ヽ   |  /     ノ ノ   |  |
     ノ /   ゙し'   ノ /    彡 '    |  |
   / ノ 彡      / ノ           ノ  ノ
  / /        / /          / /
 / ./         / ./          / ./
( ヽ       ヽ ヽ ヽ ヽ 
 ヽ、_つ        ヽ、_つ          ヽ、_つ



ああ――その言葉の通りだ。
この中に在るのはエロ画像だけではない。
思い出の集約とさえ称せる一枚の写真がこの中には在るのだ。

それは高校三年の冬に起きた奇跡の証明。
如何な動きにも対応し、荒れ狂う強風にも屈する事の無かったハインリッヒのスカート。
それが只一度だけ、その内を――レース付きショーツを露にした奇跡の一枚。

(*゚ω゚)「ほふっ、ほふっ、ほあっ、すたっ、すたすすすたんだっ」

意せぬ内に言葉が漏れる。
あの頃、幾度と無く叫び続けたあの言葉が紡がれんとする。

このテンションならば、雄々しく叫ぶ事が出来るだろう。
今この手の中に、数千枚のエロ画像すら霞む珠玉の一枚が在るのだから。

心、そして下腹部に熱が宿る。
スウェットと下着を内より押し上げる逸物は熱く滾る。
その様は、LVMAXまで鍛え上げたマーラ様を降ろしたP系主人公の如き雄々しさ。

今にもマララギオンを放たんばかりの、極限に至る漲り。

この感覚は、十年近く味わう事の無かった感覚。
いや、嫁を初めて抱いたあの時と同等――


「そぉい!」从#゚∀从 ⊃#)ω゚ )「サーペンッ!」


――いつから、声に出していたのだろう。などと考えたところで、もう、遅い。
ボクの足が床から離れ、身体が大きくのけぞり宙を舞うこの状況になってしまっては。

从#゚∀从「ブーちゃんブーちゃん、いつの間にそんな写真を撮っていたのかな?」

頭部から落下し、首が珍妙な音を立てる。
初めて聞く音だ。これはヤバイかも分からんね。と思う間に嫁は歩み寄り、ボクの頭を踏みにじる。

しかし、スカートの奥は暗く、何も見えない。

( #)ω^)「チッ」

从#゚∀从「何か言ったかな?」

( #)ω^)「いいえ何も」

やはり、あの時の一枚は奇跡の集大成だったのだ。
このまま頭蓋を踏み割られたとしても渡す訳にはいかない。

そう、これを渡せばボクは生涯ハインのパンチラを拝む事が出来なくなるだろう。
確かに彼女の下着姿ならば幾度と無く拝んできた。生まれたままの姿も。
しかしだ、それらにはチラリズムと云う物が存在しない。

武道を嗜んでいる故か、衣服を決して着崩す事の無い彼女がボクに唯一見せたチラリズム。
それをこんな所で失う訳にはいかないのだ。

( #)ω゚)「……」

从#゚∀从「ブーちゃんブーちゃん、既に詰んでいる事は分かっているだろう?」

そう告げながらハインはボクを見下ろしながら顎をしゃくる。
SDカードを渡せと言外に述べているのだろう。

言われずとも分かっているさ。ボクが君に勝つことは不可能だろう。
君の足首を掴むボクの手を振り解こうとしないのも、万が一すら起き得ないと知っているからこそだろう。

それでも、男には譲れぬ物があるのだ。
下らぬ物だと思うなら、幾らでも笑うがいい。

けど、君は忘れている。
ボクはこの世で唯一、君に勝った男なのだと――

从#゚∀从「ぎゅうううううー」

( #)ω;)「ごべんなざいごべんなざいごべんなざい」

ボクを踏みつける足、その親指の付け根によるコメカミへの圧迫。
ミチミチメキメキという音は、ボクの心を容易くへし折った。

ああ、分かっていたさ。分かっちゃあいたんだよ。
勝てる筈無いじゃないか。死に体の状態からボクに何かが出来る訳が無いじゃないか。

( #)ω;)「あ、あの……」

从#゚∀从 「何かな?かな?」

この時のボクはもう面子とかプライドとか威厳とかクソ喰らえで、ただただ、ハインのパンチラ写真が見たかった。
それが叶わないなら、丈長めのワンピースで下着が見えるか見えないか位まで捲り上げてくれないかなあとか思っていた。

( #)ω;)「一度だけでいいから、その中身を見させてはいただけないでしょうか……」

从#゚ 3从「いーやーでーすー。ずぇーったいに嫌ですー」

その言葉と共に、一度だけの願いも叶わず、SDカードは粉砕されたんだ。
ボクの目の前で。物理的に。

五話『副題:こんな事ならば、思い出さない方が幸せだったのかも。とボクは思ったんだ』

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Author:ひちょりまちょめ
コテ酉無しです。
でも一話の最後見たらすぐ分かる仕様です。

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