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( ^ω^)は18歳になったようです その3



第十九話『親心』

(’A`)「……」

走馬灯を見る暇も無く、肉体から魂が抜けた。
気付いた時には、崩れ落ちた自分を見下ろしていた。

('A`)「……俺、死んだんだな」

限界まで追い詰められ、勃起したまま倒れた。
最後に乳を触ろうと手を伸ばしてみたものの、腰を引いていた分だけ届かなかった。

(’A`)「結局、乳の感触知らないまま死んじまったんだな」

俺がこの世界に生まれた意味はなんだったのだろう。
何かを成した訳でもなく、子を残した訳でもない。
何も残せは……

(’A`)「いや……一つだけあったな」

亡骸を抱きかかえ、俺の為に泣いてくれている二人の弟子。
ブーンにジョルジョ。
こいつらならきっと俺を超えてくれる。
短い間だったが、こいつらといれて良かった。
こいつらはきっと俺の意志を継いでくれる。
ならば、もう未練は無い。

J('-`)し「アレがドクオの弟子かい?」

(’A`)「……俺には過ぎた弟子さ」

J('-`)し「で、アンタこれからどうするんだい?」

(’A`)「どうするもこうするも……」

……あれ?
ちょっと待って欲しい。
何でカーチャンがここにいる。

(;’A`)「え、ちょ、何でカーチャンがいるんだよ!」

J('∀`)しb「息子のピンチにを救いに来たのさ!カーチャンズバッと参上!」

(;’A`)「いや、でもさ、俺死んでるんだぜ?」

J('-`)し「うるせえ。は!か!た!の!塩!ぶっかけて念仏5.1chで聞かせんぞ」

(;’A`)「ガチで酷くね?」

J('-`)し「さっさ復活しな。さもないとアンタの写真うpろだに上げるよ?」

(;’A`)「いや、でも、戻り方が……」

J('-`)し「そうかいそうかい、そんなにzipでうpされたいかい」

(;’A`)「わかったから、戻るから……で、どうやって戻るの?」

J('∀`)しb「気合と根性」

(;’A`)「……」

J('-`)し「それともカント寺院方式がいいかい?99%でロストするけど」

(;’A`)「……頑張ります」

そして、四苦八苦しながらも俺は肉体に戻る事に成功した。

J('-`)し「……あ、gthmコラVIPにうpしたって言うの忘れてたわ」


~~~


(’A`)「ん……」

夏特有の熱気を感じながら瞼を開くと、視界は

( ;ω;)「し、師匠!」

( ;∀;)「起きた!師匠が起きた!」

涙でクシャクシャになったブッサイクなツラ×2に埋め尽くされていた。

(;’A`)「うわぁ……」

何という最悪な目覚め。
というか滴やら鼻水やら垂らすな。
あと顔近づけて叫ぶな。唾が、涎が……

(;’A`)「とりあえずどいてくれ。つかお前ら口臭い!」

( ;ω;)「聞こえないおwwwwwww」

( ;∀;)「だが断るwwwww」

俺の言葉を無視して密着してくる野郎二名。
暑苦しくてたまらなかった。

(;’A`)「暑いから止めろって」


――でも、


(*;ω;)「いやですおwwwwww」


――俺が生きている事を心から喜んでくれている事、


(*;∀;)「もう二度と離さないwwwwwww」


――それが言葉に出来ない位嬉しくて、


(*’∀`)「師匠の言う事聞けよこの馬鹿弟子どもwwww」


――俺はこいつらを跳ね除ける事なんて出来なかった。


(;^ω^)「うわっwwwwキモッwwwwwwww」

(;゚∀゚)「師匠の笑顔アウトwwwwww」

(*’A`)「……」

あれ、さっきまでの感動は何処へ?
何で逃げるの?

(*’A`)「まてよー、にげんなよー、つんでれかよー」

(;^ω^)「いやぁぁぁぁぁwwwwwwwwww」

(;゚∀゚)「きもいぃぃぃぃwwwwwwww」

結局その鬼ごっこは二時間ほど続いた。


~~~


(’A`)「で、今更だけど一つ聞きたい」

( ^ω^)「なんですかお?」

( ゚∀゚)「何でも聞いてください!」

(’A`)「なんで公園なの?普通病院じゃね?」

(;^ω^)「何たる盲点」

(;゚∀゚)「師匠の鬼才ぶりに全米が震撼した」

(;’A`)「……」

本気で言っているのだろうかこいつらは。
人がぶっ倒れてんのにこのクソ暑い公園のベンチに寝させるとか……

まぁいいか。
生きてるって素晴らしい!

(’A`)「とりあえず、泣いても笑っても明日が最後だ。悔いは残すなよ」

(;^ω^)「でも……」

(;゚∀゚)「あの人がいるんじゃ……」

あの人……クーさんの事か。
俺が完膚なきまでに叩き潰された光景は、嫌でもこいつらの目に焼きついた事だろう。
こいつらの心に恐怖が生まれるのも無理は無い。

だが、

(’A`)「安心しろ。その点については何の問題もない」

( ^ω^)「……お?」

( ゚∀゚)「……へ?」

(’A`)「あの場合、相手が俺の天敵だっただけだ」

同級生且つ片思いの相手。
しかも、知り合いであるが故に保持していた回避不可な追跡能力。
正に最悪の相性。

……それは俺に限っての話だ。

(’A`)「お前らとクーさんには何の因果も無い。単なる店員と客だ」

( ^ω^)「なるほど」

( ゚∀゚)「つまり、直に相対しなければ問題ないと」

(’A`)「ああ。お前らにわざわざ近づいて来る事も無いだろうしな」

勝てないなら戦わなければいい。
俺らにとっての目的は店員に勝つ事ではない、エロ本を手に入れる事なのだ。


~~~


空が、朱色に染まる。
今日という日が終わろうとしている。
俺には、最後に伝えなければならない事があった。

(’A`)「お前ら、エロ本を買う時の事を考えると恐いか?」

(;^ω^)「……恐いお」

(;゚∀゚)「……かなり」

こいつらの気持ちは痛いほど分かる。
運が悪けりゃ俺みたいな目に逢うし、ましてやこいつらは初心者だ。

(’A`)「でも、wktk感やときめきもあるだろう?」

( ゚∀゚)「はい」

( ^ω^)「おっおっ」

まだ見ぬ存在への期待。それを知りたいと思う気持ち。
開いた時に抱くのは喜びかそれとも失望か。
それは誰にも分からない。

('A`)「なら、恐怖も期待も全部ひっくるめて楽しめ」

( ^ω^)「楽しむ……ですかお?」

( ゚∀゚)「恐怖も、期待も……」

(’A`)「ああ。本を買う行為自体を楽しめるようになれば一人前だ」

エロ本を選ぶ時のときめき。本をレジに持っていくまでのスリル。
店員とのヒリつくような、一瞬の心理戦。買って家に帰るまでのwktk。
そして、開く瞬間の言葉にならない高揚感。それら全てを楽しんでほしい。

(;゚∀゚)「俺らに、出来るんでしょうか」

(;^ω^)「難しそうだお」

(’A`)「できるさ」

出来るに決まっている。
俺が見込んだコイツらに出来ない訳が無い。

(’A`)「それが、俺が伝えたかった最後の一つだ」

受け渡すべき技術は全て見せた。伝えたい言葉は全て伝えた。
もう、こいつらに教える事は何もない。俺の役割は終わったんだ。

だから、

(’A`)「俺の役目はここでおしまい。ここでサヨナラだ」

そう言い残して俺は走り出した。

(;゚∀゚)「……へっ?」

(;^ω^)「ちょ、師匠、待ってくださいお!」

( A )「いやだね!後は自分らで何とかしやがれ!」

唖然とする二人を置いて全力で走る。
何と言われようとも、俺は振り返るつもりなど毛頭無い。
振り返れるはずがなかった。

(;A;)「弟子にこんな面見せれる訳ねーだろーがよー!」

俺は、最後の最後まで師匠として格好を付けたかったんだ。

第十九話『副題:最後までガビガビです』糸冬


第二十話『前夜』

師匠は走り去った。一度も振り向く事無く。
自分の役目は終えた。そう言い残して、ボクらの視界から消えた。

(;゚∀゚)「……どうするよ」

(;^ω^)「明日は……自分たちで何とかするしかないお」

(;゚∀゚)「今日は帰るか……」

(;^ω^)「おっおっ……」


~~~


( ゚∀゚)「……バス遅えなぁ」

( ^ω^)「……暇だお」

毎度の事ながら、待ち時間というのは妙に長く感じる。
退屈が時間を引き延ばす。とでも言えばいいのだろうか。
退屈を覚えた途端に一秒が十秒にもその倍にも感じられる。
だから、ジョルジョは退屈を紛らわす為にこんな下らない話を始めたのだろう。

( ゚∀゚)「そういやさ、お前好きな人とかいないの?」

( ^ω^)「……唐突過ぎないかお?」

( ゚∀゚)「いや、俺と師匠の好きな人知ってんのに、お前だけ内緒ってのはずるくね?」

……なるほど。そいつは尤もな話だ。
しかし残念、今のボクに想い人など存在しないのだ。
中学の頃なら確かにいたさ。だがしかし、あの中学三年の夏、

エロ本知ったその日からボクの辞典に色恋の字は無い。

( ^ω^)「んー、今はいないお」

( ゚∀゚)「何で?お前のクラスって、しいとかツンとか可愛い子いるじゃん」

( ^ω^)「……ジョルジョ、知らないとは言わせないお」

しいには高校に入る前から付き合っている彼氏がいて、その彼氏はボクの友人。
その時点で恋愛対象から除外される。

そしてツン。
彼女は正真正銘、根っからのガチレズである。
アウトなんてレベルじゃない。

( ゚∀゚)「じゃあ、ハインはどうよ?」

(;^ω^)「ハイン……かお……」

ハインリッヒ高岡。
アスラを一人でフルボッコにしたと噂される女番長。体術Lv50
番長と刺繍の入った長ランを一年中羽織っている硬派of硬派。
誰ともつるまず、暇さえあれば純文学の文庫本を読み耽る孤高の存在。
あとツンの標的。

そんな彼女に恋愛感情を抱く事は、少しばかり畏れ多かった。

(;^ω^)「ちょっと無理だお」

( ゚∀゚)「なんでよ?」

( ^ω^)「野生の肉食動物と同じだお。遠目に見る分には良いけど……」

( ゚∀゚)「近づいたらギャーってかwwwwwww本人が聞いたら傷つくぞwwwwww」

( ^ω^)「サーセンwwwwwww」

こんな事を笑って言えるのも、この場に本人がいないからこそだろう。
本人に聞かれたなら、間違いなく練気拳でLP0になるまで殴られる。
その後、強制リセット→ロード→即エンカウント→再フルボッコの可能性も……

( ゚∀゚)「実際そんな恐くないけどなwww口悪い上に人見知り激しいけどwwwwww」

( ^ω^)「ん?何でジョルジョがそんな事知ってるんだお?」

( ゚∀゚)「何でって…………お、あそこ走ってんの師匠じゃね?」

( ^ω^)「全裸とかきめえwwwwwwwww」

( ゚∀゚)「パトカーktkrwwwwwwwwwwwwwww」

そんなこんなでバスがきた。乗った。
師匠は捕まってた。
さよならVIP町、また明日、バイバイ!

あ、ハインについて聞くの忘れてた。


~~~


( -ω-)「…………」

正座した上で眼を瞑り、心を空にする。全裸で。
明日は最終日。決戦の日。
心身共に万全の体制で挑まなければ、本懐を遂げる事は叶わないだろう。
買わねばならない。買い、愚息を扱き、種を放たねばならない。
時は来たのだ。機は熟したのだ。

( ゚ω゚)クワッ!

堪え切れず拳を掲げる。
響き渡らせるはときの声。





(#゚ω゚)「STAND UP TO THE VICTORY!」






くがつついたち どようび はれ
よなかにさけんだら おとーさんとおかーさんに おもいっきりなぐられました
ついでに ぼくのむすこも みられました
なさけない と はもられました
ぼくは まくらを なみだで ぬらしました

さんねんいちくみ ないとう はらいぞん

二十話『副題:みられることはくつうほかならない』糸冬



第二十壱話『再会』

夏休み最終日。それ即ち決戦の日。
心身共に万全の状態で挑むべきその日の朝、

(#)ω(#)「「……」」(#)∀(#)

本屋の前に立っているボクらは既に瀕死だった。

(#)∀(#)「糞……兄貴の奴本気で殴りやがって……」

(#)ω(#)「前が見えないお……」

顔が蜻蛉っぽいけど気にしてはいけない。
ボクらは見た目通り繊細なのだ。
些細な中傷で傷ついてしまうのだ。

( ゚∀゚)「まぁすぐに治るんだけど」

( ^ω^)「若さって素晴らしいよNE!」

コレが十代の若さという奴だ。
性欲をもてあますボクらだからこそ、と言えない事も……

「……あの、すいません」

( ^ω^)「お?」

( ゚∀゚)「え?」

川д川「やっぱりこの前の人だ……やっと見つけた」

ボクら……というかボクに声をかけたのは、つい先日十円をあげた女の子。
どうりで聞き覚えのある声だと思った。

( ^ω^)「やっとって……もしかして、あの後からボクの事を探してたのかお?」

川д川「はい……あの、この前は本当に……」

(;^ω^)「いや、アレはボクが勝手にやった事だし……」

川д川「でも、アレで私が助かったのは変わりありませんし……」

何と言うかアレだ。
アレアレ言い合うのも何かアレだなぁ……あれ?
と言うかだ、ちょっとした人助けがこんな展開になるとはまさに予想外。
たとえ神様お天道様丞相様でも想像できなかっただろう。

(;^ω^)(……ちょっとばっかし困ったお……)

……正直言えば、こういうやり取りは少しばかり苦手なのだ。
でも、ジョルジョなら何とかしてくれるんじゃないだろうか。
何の根拠も無いが、その期待を視線に乗せてジョルジョに送信してみる。

(;^ω^)(……ヘールプ!リオンヘールプ!)

( ゚∀゚)「……」

だが、ジョルジョは彼女を見つめたまま沈黙を保っていた。

( ^ω^)(……あれ?)

おかしな事にその視線は胸ではない。
冷静に、観察するような目で、彼女をくまなく見つめていた。
確かに胸は少々薄いかもしれないが、ボクからしてみればその膨らみは充分と……

川д川「あの……」

(;^ω^)「おっ……ちょっと魂抜けて……」

川д川「本当に、ありがとうございました」

言葉と共に、彼女の頭が下がる。
深々と一礼。

(;^ω^)「……」

何とも義理堅い人だ。
たった十円の礼をする為に人探しする人なんて普通はいないだろう。
軽い言葉の礼ならともかく、こんな深々と礼をしながら言う人はもっといないだろう。
天然記念物……いや、絶滅してしまった筈のトキを見つけてしまった気分だ。

(;^ω^)「あの、頭を上げてほしいお」

川д川「でも……まだ恩を返していません」

( ^ω^)「じゃあ、困ってる人を見つけたら助けてあげてほしいお」

川д川「え……?」

( ^ω^)「それがボクにとって最高の恩返しなんだお」

誰かが困っている時に助けてあげるヌクモリティ。
それを心に持ってくれる事はボクにとって十分な恩返しだ。
ボクだっていつ同じ状況に立たされるか分からないのだから。

( ^ω^)「それに……」

ここから先の言葉は他の人に聞かれちゃいけない。
ジョルジョには言ってしまったから仕方ないとしても、道行く人に聞かれないとは限らないのだから。
だから、彼女の耳に手を添えて口を近づけた。

川*゚д川「ひあっ!」

異性が近づく事に慣れていないのか、彼女の口から変な声が漏れる。
いや、口が近すぎて耳に息がかかってしまったのかも知れない。
まぁいいか。

( ^ω^)「あんな本を買う時は誰だって恥ずかしいし……」

川* д川「え、あ……気づいて……たんですか……」

彼女の頬がほんのり桜色に染まる。
きっと、あの時の事を思い出してしまったのだろう。
でも、僕の口はそんな事など関係なく言葉を紡ぐ。

( ^ω^)「それ以前に、泣きそうになってる子を見捨てちゃ漢が廃るって奴だお」

川///川「……」

彼女が顔全体を真っ赤に染め、そのまま俯く。
あれ?僕はそんな恥ずかしくなるような台詞を言ったつもりは無いのだけど。
もしかして自分でも気付かない内にとんでもない事を……

(;゚∀゚)・',`、'; ブフォッ

え、吹き出すくらいとんでもない事言ったの?
と言うか聞き耳立てんな。

(;^ω^)「あの、僕変な事言ったかお……?」

川///川「いえっ!あ、ああああのっ、失礼します」

彼女は、そのまま行ってしまった。
ボクの疑問の答えを教える事無く。

(;^ω^)「ジョルジョ、僕なんか変な事言ったのかお?」

( ゚∀゚)「……それ本気で言ってんのか?」

(;^ω^)「……お」

本気で分からないから聞いているのだ。
それくらい理解して欲しい。

( ゚∀゚)「何っつーか、立った!フラグが立った!って言えばいいのかな」

( ^ω^)「そんな簡単にフラグが立ったら苦労しないお」

( ゚∀゚)「まぁいいか。面白いもん見れたし」

(#^ω^)「ボクが困ってるのが面白いって言うのかお」

( ゚∀゚)「そうじゃなくてだな……っと、そろそろ開店時間だぜ」

その言葉に、はぐらかされた感を抱きつつも腕時計を覗き込むと、時間は9:59。
もうすぐ、決戦の地への扉が開かれる。


――あと3秒――2秒――1秒――


扉は、ついに開かれた。


~~~


( ゚∀゚)「……ん」

( ^ω^)「……お」

いつもと変わらぬ本屋。
朝一である事もあり客は少なく、エロ本を買うには絶好の機会と思えた。

だが、油断は死に直結するという事を忘れてはいけない。
油断、慢心、増長、そういった気持ちは全て捨てるのだ。
それらが心にある事は敗北への第一歩である事を理解せよ。

これは、訓練ではない。
これからボクらがやるのは実戦。
これから先の事には、どんな言い訳も通用しない。
例えどんな事があっても敗北は許されないのだ。

( ^ω^)「今日で、決めるお」

( ゚∀゚)「……ああ」

周囲を一瞥。
警戒すべき敵はいない。
ならば足を進めよう。彼の地へと。

( ^ω^)「……」

( ゚∀゚)「どうか、したか?」

( ^ω^)「……おっおっ」

( ゚∀゚)「……なるほどな」

振り返ったボクらの視線の先……レジにはあの義理堅い女の子。

川* ー川「この本、ずっと探してたんだ」

(■、■*川「よかったねぇ」

隣にいるサングラスをかけた子は友人だろうか。
本当に、嬉しそうだ。



願わくば、ボクらもあんな風に、笑って本屋を出られますように。



第二十一話『副題:書いててここまで殺意が沸いたのは生まれて初めて』糸冬



第二十二話『長岡』

(  ∀ )「…………」

本屋という空間自体の状況を探り、隙を見出す。
五感――そして第六感と呼ばれる感覚すらフル稼動させての知覚。

(; ∀ )「ぐっ……」

限界以上に思考速度を向上させる。
脳の神経が焼き切れかねない速度での情報整理、統合。

( ゚∀゚)「――――見えた」

口内での呟きと共に、その眼が鋭く輝き……ジョルジョが動いた。
彼が脳裏に浮かべるは、初めて見た時の師匠の技。
二度と忘れる事ではないだろう、魂に刻まれた姿だった。

( ゚∀゚)「一つ――」

再び口内のみで呟く彼の手が掴むは、ファッション雑誌『メンズVIP』。
今の流行から脱ヲタファッション、女装の方法まで載っているお得な一冊であるが……

この場合、内容は関係ない。
重要なのはエロ本と同等のサイズであるという事。

( ゚∀゚)「――二つ」

更に掴まれしは三次のエロ本。
その迷いの無さから、前日より目をつけていたであろう事が予想できる。
 
( ゚∀゚)「三つ――――――さぁ、征こうか」

エロ本を内側に、更には僅かに後方にずらし2冊を片手で掴む。
その間一秒未満。ここ数日、彼が密かに行っていた自室での特訓が功を奏した瞬間だった。



その歩み、無人の荒野を行くかの如く。


手に持つ本は、誰にも関心を向けられる事無く。


その存在、限りなく自然体。


それが、ジョルジョ長岡の辿り着いた領域。


本屋という空間を完全に理解し、そこにいる人間の意識をずらす。


(  ω )「……本屋を歩む者(Book Store Walker)」


思わず呟かれたその言葉は、最大級の賛辞。


その言葉は、後にジョルジョ長岡、彼を意味する言葉となる。


――彼は遂に辿り着いた。
最後の場所、レジへと。

( ゚∀゚)「これを、お願いします」

その言葉と共に、裏返された二冊の本がカウンターの上に置かれる。

(;´・ω・`)「――ッ、ありがとうございます」

店員の目の前には絶妙にずらされた二冊の本。
バーコードを通せるかどうかという範囲がギリギリ露出しているずらし具合。
通るのだろうか、自分はコレを通せるのだろうか。そう、店員は思った。

(;´・ω・`)「820円が一点――」

店員は心臓の鼓動が高鳴るのを感じた。
目の前の彼は最高のずらしを見せた。
ならばこちらも最高の通しを見せねばならないのだ。

(;´・ω・`)「そして――」




小さく、電子音が鳴った。




(;´・ω・`)「740円が一点。二点で1560円になります」

( ゚∀゚)「丁度で。あと、袋をお願いします」

これは伝説の幕開け。
本屋を歩む者の伝説が、今この瞬間始まったのだ。

第二十二話『副題:厨二病具合が足りない』糸冬



第二十三話『内藤』

( ^ω^)「……」

( ゚∀゚)「……」

視線の先にはジョルジョ。
彼の手には店員より渡された紙袋。
彼の目が、ボクに告げる。



ねんがんのエロほんをてにいれたぞ!



そう、告げていた。
ころしてでもうばいとるのは簡単かもしれない。
だが、それはSFC版のみ訂正現実ではやってはいけない事。
それに、こういう物は自分で買ってこそなのだ。

( ゚∀゚)「見せてもらうぜ、お前のクオリティ」

( ^ω^)「……おっ」

ジョルジョは目的の物を手に入れた。
次は、ボクの番だ。


~~~


(;^ω^)「ぐぅ……」

本を、手に取る。
重い。そして、灼熱を感じる。

それは拒絶。
体ではない。心が本を拒絶しているのだ。
心がそれの危険さを知っているが故に、拒絶し、重く感じさせているのだ。

(;^ω^)「この……程度ッ!」

それでも耐え、掴む。
しりのあなの広告を外に向け、足を一歩踏み出す。
ボクには師匠やジョルジョの様な優雅且つ自然な動作は不可能だ。
今この時だけは、不器用すぎる自分の体が呪わしく思えてならない。
だが、

(;^ω^)「ボクがやらなきゃ、ダメなんだお」

やらねばならないのだ。
全身全霊を以って。己の限りを尽くして。
道を切り開かねばならないのだ。
頼れる者など存在しない。頼ってはいけない。
何かに縋ろうとした時点で己の身に隙が生まれる。
己の力のみで、レジへと向かわねばならないのだ。

(;^ω^)「あの角を曲がれば……」

あの角を曲がればレジが見える。
そこからは周りを注意しながら一直線に進めばいい。
曲がり角で鉢合わせさえしなければ特には……

(; ω )「……」

本が、僕の手から離れ、床に落ちる。
裏表紙が上になった幸運を喜ぶべきだろうが、そんな余裕など微塵もなかった。
僕の視線が捕らえたのは入り口脇のレジ。

そこで腕を組み、仁王立ちする一人の女性の姿。

それは人鬼。
それは悪夢。
それは最強。

川 ゚ -゚)「……」

それは――――師匠を打ち倒せし天敵。

(; ω )「あ……ぐ……」

膝が震え、脳裏にあの光景がフラッシュバックする。
嫌だ。否だ。厭だ。恐い。怖い。やめてくれ。
このままへたり込みたい。逃げ出したい。
本当に、勘弁してくれ。

頭で分かっていても、体は動こうとはしない。
刻み込まれた最大級の恐怖が頭を擡げていた。

(; ω )「ハァッ……ハァッ……」

痛いくらいに鼓動を早める心臓。
自然と荒くなる呼吸。

川 ゚ -゚)「……む?」

(; ω )「――――ッ!」

視線が、重なった。
重なってしまった。
完全にこちらの存在に気付いた。
もう……

「すいません、店員さん」

僅かに聞こえた声。
それは、今朝聞いたあの子の声。

川д川「ハウルの動く尻ってありますか?」

川 ゚ -゚)「はい。こちらにお持ちしますので、少々お待ち頂けますか?」

川д川「宜しくお願いします」

川 ゚ -゚)「では……モナーさん、レジの方お願いします」

( ´∀`)「おkモナー」

師匠が天敵と呼んだあの女性がレジを離れ、コミックコーナーへと姿を消した。

(;^ω^)「……助かったのか……お……」

ギリギリで踏みとどまった。
絶望的な状況が彼女の手によって覆された。

だが、レジは遥か先。余りに遠い。
そして、時間が足りない。
普通に走った所で、着いた頃には間違いなくあの店員が戻っている。

今のボクが出せる速度では到底足りない。もっと速く。
人類史上最速の人間よりも早く。
草原を駆ける四足獣よりも速く。
天翔ける翼を持つ鳥よりも迅く。
鋼鉄の翼と心臓を持つ機械の鳥よりも更に疾く。
肉を持つ存在の限界を超えなければ到底届きはしない。

ならばアレをやるしかない。
かのヒーローが巨悪との死闘の中で閃いた最終奥義。
己の身を火の鳥と化し、回避不能な速度で突貫するあの技。
それしかない。

だが、ヒーローですらアレを繰り出す為には変身し、身体能力を向上させなければならなかった。
それを、生身で出来るのか?それを、生身で耐え切れるのか?



――やれるッ!



――何も問題は無いッ!



――片手、片目、愚息さえッ!それさえ残っていればッ!



本を拾い上げ、そっと瞼を閉じる。


( -ω-)「……ぉ……」


そして、両腕を猛禽類の翼の如く横に広げ、全身の筋肉を限界まで引き絞る。
もっとだ、もっと引き絞り、張り詰めろ我が肉体よ。
人の限界を超えなければ神速の極みに到達する事など出来はしない。


( ^ω^)「……おおおぉ……」


心よ尖れ。鏃の如く。刃の切っ先の如く。万物を穿ち貫く螺旋の如く。
そうでなければ耐えられなどしない。
ボクは全てに耐え、全てを乗り越えなければならないのだ。



(#^ω^)「……おおおおおぉ……」


必要なのは自分という存在を知覚する事の出来ない速度。
百という距離を十に。その十を壱に。その壱を限りなく零に近い存在に縮める速度。
通り過ぎた後、暴風によって“何かが通り過ぎた”と、間接的に存在を知らしめる速度。


(# ω )「おおおおおおぉ―――――」


それは刹那の領域に近づく行為。
それは刹那の領域を超える行為。
それは光る疾風を追い越し―――――混ざり、一つになる行為。



(#゚ω゚)「おおおおおおおおおおおおおおぉ―――――ッ!」


ボクが纏うは真紅の炎ではなく、白色の輝き。
そう、人類の英知の結晶、蛍光灯の煌き。
今この瞬間から、本屋の通路という暗黒を切り裂く閃光となろう。
彼女が作ってくれたチャンスを生かす為に――――


(#゚ω゚)「――――ッ」


――それは、息を吸い込んだ瞬間の事だった。


――かちん。という、引き金が引かれた時の様な、少し間の抜けたな音がした。そんな気がした。


――それは、ひゅん。という、弓が放たれた時の様な音だったかも知れない。


――もしかしたら、ビュッ。という、種を放った時の様な音だった可能性もある。


――わからない。


――けど、どれであろうと関係ない。


――音がした瞬間、ボクの体は、その場所に存在しなかったのだから。







□⊂二二二(#゚ω゚)二二⊃「 光 の 翼 ァ ――――――――!」










誰も、気付く事など出来なかった。
誰も、止める事など出来なかった。

親友でありライバルであるジョルジョ。
彼の目は、その存在を捉える事が出来なかった。
ただ、

(■、■*川「いやぁん!」

(*<○>∀<○>)O彡゚「パンチラ!乳揺れ!」

巻き起こされた暴風によって女性客のスカートが捲れ、乳が揺れた事。
それで辛うじて存在を感じたのみだった。


そして、弟子の身を案じ、物陰から様子を窺っていたドクオ。
彼でさえ、理解する事が出来なかった。
そう、

J(*'∀`)し「 死 ね ェ ――――――――ッ!」

(;'A`)「アビゴルッ!」

母親に突き飛ばされ、

□⊂二二二(#゚ω゚)二二⊃「 死 ね ェ ――――――――ッ!」

(メ゚A゚)「ゴトラタンッ!」

その身がブーンに弾き飛ばされたその瞬間でさえ。


内藤ホライゾンことブーン。
彼はその瞬間、光と一体になっていたのだ。


第二十三話『副題:間接的アシストはセフセフ』糸冬

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Author:ひちょりまちょめ
コテ酉無しです。
でも一話の最後見たらすぐ分かる仕様です。

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