スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

从 ゚∀从達 は闘争の中でこそ輝くようです 第一話

第一闘争ッ!

『料理にはッ!愛情という隠し味が存在するッ!』

――闘争開始ッ!
――深夜一時半。
いつもならば静寂に包まれている筈の台所。
だが、この日はいつもと様子が違っていた。

煌々と部屋を照らす蛍光灯。
小麦粉が散らされ、いくつもの調理道具が積み重ねられたテーブル。
低い唸りを上げるオーブンレンジ。そして、

从 ゚∀从 「おーおー、いい感じじゃね?」

片頬を吊り上げた表情のまま、中腰で正面を見つめるハインリッヒ。
視線の先には、オーブンの中で焼かれる茶褐色の物体、クッキー。

从 ゚∀从 「さん、にー、いーち……」

ゼロ。と言い終えると同時に、オーブンから甲高い電子音が流れた。
ハインリッヒの手によって扉が開かれ、その奥より香りが広がった瞬間――

从*゚∀从「……ぉぅぃぇぃ」

――彼女は思わず唾を飲み込んだ。
台所に広がる甘く香ばしい芳香は、焼き上がったクッキーの味が極上である事を容易く想像させる。
そして、程よく焼かれた茶褐色の外観は、サクリ、と小気味良く歯の通る、心地よい感触を想像させた。

が、彼女はクッキングシートの上に並べられたクッキーを摘まもうとはしない。
己が手で作り出した極上の菓子、しかも焼きたての其れが、手を伸ばせば触れる場所にあると云うのに。

彼女――ハインリッヒ高岡は知っているのだろう。
深夜の間食が及ぼす肉体への影響を、決して侮ってはならぬ事を。

故に、彼女は涎を垂らしながらも、後片付けに専念する。
全ては、思いを募らせるあの先輩との恋を成就させる為に。

从 ゚∀从「こういう時ばかりは自分の猫舌が憎くて仕方ねえなぁ……」

そう呟きながら彼女が布団に入ったのは、草木も眠る丑三つ時であった。


~~~


――そして翌朝の台所。
そこには、綺麗にラッピングしたクッキーを見つめるハインリッヒの姿があった。

从 ゚ -从 「……」

彼女の胸中には一つの不安。
昨晩製作し、朝食の後に摘まんでみたクッキー。

彼女は、其れを美味いと思った。
己が人生で最上の出来であると、胸を張って言える程に。

だが――其れは所詮、庶民の舌。
料理が美味すぎて口から光線を出した事など一度も無い庶民の味覚。

从 ゚ -从「なら、どうすれば――」

ば、まで発音したハインリッヒの口が、丁度バナナが入りそうな円を作ったまま止まる。
直後、その頭上に裸電球が浮かび――否、その電球は天井板の隙間より吊り下げられていた。

从 ゚∀从 「そういや、アイツがいたな」

名案を閃いたのか、ハインリッヒの顔にいつもの笑みが浮かぶ。
彼女の脳裏に浮かんだのは一人のクラスメイト。

从 ゚∀从 「とりあえず、昼休みに頼んでみっか」

由緒正しき家柄且つ、金持ちの一人息子。
旨い物ばかり食っていると噂の不細工に試食してもらったならば、間違いは無いだろう。
彼女はそう確信したのだった。

――ハインリッヒのいなくなった台所で、今尚吊り下げられたままの裸電球。
それが玄関の閉じる音と共に引き上げられ――
 _、_
( ,_ノ` )「ふぅ、一仕事完了ってか」

――直後、天井板の隙間が広がり、台所に一人の男性が降り立った。
隙間から降り立ったのは、一人の壮年男性。
裸電球を吊り続けて四十年のベテラン、渋沢(56歳)である。
 _、_
( ,_ノ` )y-・~「さて……後三件回らにゃならんし、さっさと報酬を頂くとするか」

その日、高岡家から消えた下着の数は四。
その全てが、裏ルートで闇オークションに流せば六千円は固い代物であったと云う。
 _、_
( ,)(` )y-・~「フフッ……この締め付け、堪らんな」

~~~

――昼休みの校舎裏。
心地よき陽光を求める学生達は、皆屋上や中庭へ向かう。
だからこそ、わざわざ日当たりの悪いこの場所に来る物好きなど無く。

从 -∀从 「……」

故に、其処に人影は一つ。
瞑目のまま、仁王立ちして人を待つその姿は、一介の女子高生とは思えぬ風格。

――其処に新たなる影一つ。
小刻みに震えるその挙動だけで、臆病者である事が見て取れる。

(;'A`)「あの、高岡さん……」

辺りを窺いながらハインリッヒの前に立つ男。
彼の名はドクオ。世界中の同情をその身に受ける世界一の醜男である。

从 ゚∀从 「……遅かったな」

(;'A`)「――ッ!」

視線が重なると同時に、自身の尻に添えられたドクオの右手が財布を引き抜く。
膝が地面に近づく間も、財布は大気を裂かんばかりの速度で最短距離を疾走。
額が地面に触れると同時に、財布に追いついた左手が左側面に合体。

財布がハインリッヒへと差し出されるまでに要した時間は、一秒を十で割ってもまだ余りあるほど。
まさに、神速であった。

(;'A`)「コレが今日の全財産です!コレで勘弁してください!」

財布をハインリッヒへと差し出す彼の表情に、同級生の女子に呼び出された事への喜びなど何処にも無い。
只怯え、ただひたすらに相対する相手に媚び諂うかのような態度。

(;'A`)「足りない分は明日持って来るんで勘弁してください!」

彼、ドクオは自身を知っている。
自身の顔と性格では色恋とは無縁である事を。
そして、ある種の人間にとって自分が財布に等しい事を。

(;'A`)「けどッ……出来る事ならこれでッ……コレで勘弁して下さいッ……!」

ドクオは財布を掲げ、額を地面に擦り付けながら返事を待つ。
だが、ハインリッヒはドクオの行為の意味を理解できないのか、首をかしげるばかり。

そして数秒後、ハインリッヒは行為の意味をようやく理解したのか、人差し指で頭を掻きながら口を開いた。

从 ゚∀从 「……そういうんじゃないんだ。弱いものいじめなんてしねーよ」

(;'A`)「そ、そうですか……」

ドクオは自身の勘違いであった事に安堵すると共に、心に針で刺したような痛みを覚えた。
誰だって、面と向かって弱者扱いされれば傷付くのだ。

从 ゚∀从 「それより悪かったな、わざわざこんな所に呼び出しちまってよ」

(;'A`)「いえ……それより、何の用なんですか?」

从 ゚∀从 「お前が良い物食ってるって聞いてな、ちと試食をしてもらおうかと……」

言葉と共に、ハインリッヒがポケットからクッキーを取り出そうとしたその時――

「「「お待ちなさい!」」」

三方より怒声が放たれ、重なった。

(;'A`)「ひえっ……」

从 ゚∀从「何やってるのかと思ったがよ……出てこいよ」

ドクオの動揺をよそに、ハインリッヒは挑発するように顎をしゃくる。
直後、ハインリッヒの背後にあった巨岩――否、それは肉塊だった。

川 ^ω^)「ふふっ、ばれていたとは予想外だったお」

肉塊が立ち上がり、その巨躯を揺らしながら笑う。
肉塊の名は内藤ホライゾ美。通称『億千貫の内藤』

ホライゾ美の登場に続き、不自然に盛り上がった校舎の壁が捲れ上がる。
その奥より現れたのは、

ξ´・ω・`)ξ「そもそも隠れる意味なんて無くってよ。無くってよ」

学校一のしょぼカワ愛され系(笑)、ショボ代。
通称『鞠見てのショボ代』

そして、屋上よりスカートをはためかせながら降下し、ドクオを踏みつけたのは、

ノハ,,゚Д゚)「ないとーがクサいからばれたんらぞー」

見た目は子供、中身も子供、ギ子。
通称『馬鹿』

从 ゚∀从「何の用……って聞くのは野暮だよなぁ?」

川 ^ω^)「そう、ビコーズ先輩を狙うのはハインだけじゃないんだお」

ξ´・ω・`)ξ「新作クッキーの効果を試したかったのよ。問題なくってよ。なくってよ」

ノハ,,゚Д゚)「何となく!」

ハインリッヒの眼前に立ち並び、不敵に笑う三者。
顔は笑っているものの、その眼に映し出されるのは闘争を求めて止まぬ修羅の魂。

ハインリッヒもまた、三者と同じ顔をしている。
同じものを眼に映している。

だからこそ、ハインリッヒは喜悦する。
己がある種の闘争の引金に指を掛けている事を知っているから。

故に、ハインリッヒは牙の如く発達した犬歯を剥き出しに、喜悦を隠す事無く曝け出し――

从 ゚∀从 「ヘッ……いいだろう、勝負だ!」

――躊躇い無く、引金を引いた。





('A`)「……」

ドクオはギ子に踏まれたまま、蟻の行進を見つめる。
今この瞬間、自身が空気と等しき存在であると知るが故に。

~~~

川 ^ω^)「まずはボクのだお!」

言葉と共にホライゾ美がドクオに差し出したのは、黒色の物体。
木炭の欠片に良く似た其れの香りは、香ばしいなどとうの昔に通過していた。

(;'A`)「コレは流石に……」

川 ^ω^)「いいから早く食べるお」

肉塊と称される肉体に相応しい面の皮を持ち合わせているのだろか。
それとも、分厚い肉壁によって耳孔が塞がってしまっているのだろうか。
ドクオの拒絶を聞いて尚、ホライゾ美は自身の体ごとドクオに禍々しい其れを押し付ける。

(;'A`)「わ、分かりましたから……」

説得を諦めたのか、それとも零距離の肉圧に耐え切れなくなったのか、ドクオは力なく頷いた。
その顔には多量の汁。其れがドクオの汗であるか、それとも肉汁が付着したのかは誰にも分からない。

川 ^ω^)「ふふっ、女の子の手作りお菓子を貰った事無いからって照れすぎだお」

(;'A`)「うぅ……」

ドクオはホライゾ美の言葉を無視しつつ、躊躇いながら一口齧る。

( ;A;)「……」

ただ一口分、謎の物体を噛み砕くと同時に、ドクオは涙した。
その涙は理不尽な災難を嘆くものか、それとも純粋に、其れが不味いのか。

この世界を呪いながら、ドクオは謎の物体が出来るだけ舌に触れぬ様に噛み続けた。
涙を零し続けるその眼は、ここではない、遥か遠くを眺め続ける。
コレが夢である事を心の底から望む様に。

川 ^ω^)「どうだお?」

( ;A;)「こんなに苦い食べ物は……生まれて初めてです……」

視線を戻さぬままのドクオの言葉。その声は、震えていた。
台無しにされた材料たちへの哀れみ、そして怒りが込められていた。

だが、

川 ^ω^)「コレだからドクオ君はお子様なんだお。コレはビターと言うんだお」

(;'A`)「……」

それがホライゾ美の面の皮を破る事は無く、徒労に終る。
しかし――その面の皮より恐るべきは、悪夢の如き苦味をビターと言い捨てるホライゾ美の味覚。

川*^ω^)「こんなに美味しいのを苦いだなんて……おいしいお!おいしいお!」

ホライゾ美はドクオの手から謎の物体を奪い取り、破片を撒き散らしながら貪り続ける。
その姿はまるで、飢えた豚の如く。

('A`)「ああ、そう、か……」

その姿を見ながらドクオは一人納得し、ホライゾ美に哀れみの視線を向ける。
彼は気付いたのだろう。

あらゆる物を美味いと感じるホライゾ美の狂った舌。
それこそが、彼女の魅惑の正三角形体格を作り出した元凶と云う事を。

彼女は其れで幸せなのだろう。と一人納得し、ドクオはその場で嘔吐した。

~~~

ノハ,,゚Д゚)「ホラ団子!やるから食え!」

('A`)「コレって……」

二番手であるギ子が差し出したのは、白い団子。
それに見覚えがあったのか、ドクオは僅かに眉を顰める。

ノハ,,゚Д゚)「台所にあった!拾った!」

(;'A`)「それってまさか……」

ドクオの頬を冷や汗が伝う。本能が団子を拒絶しているのだ。
だが、ギ子はそんなドクオの態度など気にも掛けずに団子を押し付ける。

ノハ,,゚Д゚)「だいじょーぶだって!」

(;'A`)「わ、わかりました……」

ドクオは溜息を漏らしながら団子を受け取り、其れをマジマジと眺め、慎重に確かめる。
ざらついた表面の手触りは、通常の団子とは明らかに異なる感触。

色は、ホライゾ美の物とは対極の白色。
その白色はどこか毒々しく、最初に食べた謎の物体と同等の危険さをドクオに感じさせた。

(;'A`)「ぐぅ……」

俯き、この手中の団子をどうするべきかと考えるドクオの視界に、

ノハ,,゚Д゚)「どーしたー?食べないのかー?」

(;'A`)「うひぃ!」

突然ギ子が入り込む。
ドクオがいつまで経っても食べない事を疑問に思ったのだろう。
首を傾げたままドクオを見上げ、クリクリとした眼で、馬鹿だからこその純粋無垢な視線をドクオに向ける。

ノハ,,゚Д゚)「なーなー、食べろよー」

(;'A`)「うぅ……」

ギ子は、自分と頭一つ半ほど差のあるドクオを見上げながら、食べろ食べろと連呼する。
更にはドクオの空いてる方の腕にしがみ付き、それを思い切り振って急かし始め――

ノハ,,゚Д゚)「ほーら!せっかくやったんらから……どーかしたかー?」

(*'A`)「……ああん」

――ドクオの心臓が、高鳴った。
その顔は見る見る内に赤く染まり、湯気を立て始める。

ドクオは、未だかつて異性と手を握った事が無かった。
体育祭のフォークダンスはおろか、幼稚園のお遊戯の時でさえ。

未だかつて、ただの一度たりとも、その手が異性とは繋がれた事はなかった。
だが――この瞬間、腕は繋がれた。

軽く触れるだけではなく、異性がしがみ付く形で。
ドクオは、胸の内より溢れ出る喜びの感情に戸惑いながら、覚悟を決めた。

腕に当たるまな板の感触を楽しみながら。
時折触れる謎の突起に喜びを感じながら。

(*'∀`)「いただきますっ!」

言うが早いか、皆の見守る中でドクオは団子を飲み込み、咀嚼する。
口を動かす度にその顔は青褪め、十噛みした頃には白目を剥いていた。
それでも尚ドクオは噛み続け――

ノハ,,゚Д゚)「どうら!」

( ゚A゚)b「……ぃぇぁ」

最後の力を振り絞って一言呟くと、その場に力なく倒れた。

ノハ,,゚Д゚)「そうか!うまいか!じゃあ私も食うぞー!」

ギ子もまた、泡を吹いて卒倒した。

~~~

ドクオが復活したのは其れより数分後。
その顔は蒼白。まるで死人の如く。

('A`)「……死ぬかと思った」

謎の物体と毒に侵されたドクオの身体は既に満身創痍。
それでも尚、ドクオは立ち上がる。
ドクオを立ち上がらせたのは男としての意地。

異性の手料理を食べる機会など二度と無いかも知れない。
そんな想いがドクオを死地へと向かわせる。
彼もまた、闘っているのだ。

('A`)「次は、ショボ代さんだったよね」

ξ´・ω・`)ξ「そうなのよ。その筈なのよ」

ショボ代が取り出したのは濃い肌色のクッキー。
外見だけで言えば、ようやくまともな物が来たという所。

だが、ドクオの顔から冷や汗が止む事はない。
ショボ代もまた、最初の二人と同類だという事が警戒心を刺激するのだ。

('A`)「……」

ドクオの心は疑心暗鬼に染まる。それ故に、

ξ´・ω・`)ξ「ほうら、食べさせてあげるからあーんしなさい。しやがりなさい」

(;'A`)「……え?」

ショボ代の右手、その指に挟まれたクッキーが自分の口に近づいてくる様。
それを、現実だと知覚出来なかった。

ξ´・ω・`)ξ「遠慮しなくていいのよ。しちゃだめなのよ」

(;'A`)「い、いや……自分で食べれるから……」

遠慮の言葉を口にしながらドクオは思考する。
コレは夢なのだ、と。
夢でなければ、学校一のショボカワ系(笑)からこの様なスイーツな行為を受ける訳がない、と。

だが、ゆるりと接近してくるクッキーがその唇に触れた時、

(;'A`)「ひゃうん!」

ξ´・ω・`)ξ「あら、かわいい鳴き声するじゃない。するじゃない」

ドクオは其れが現実だと思い知らされた。

(;'A`)「……変な臭いがするんですけど」

ドクオに現実を知覚させたのは、言葉にし難い薬品臭。
しかも、焼成工程を経て尚、眼を潤ませてしまうほどの刺激臭。

(;'A`)「……」

思わず顔を背けたドクオは、コレが新手の虐めではないかと考える。
だが待って欲しい、とドクオの中のもう一人のドクオが異論を唱えたのはその直後。

人は誰でも失敗する、ましてや初めての手料理ならば尚更ではないか、と。
そもそも乙女のお願いを断るなど、男として――否、日本男児としてやってはならぬのではないか、と。

(;'A`)「そう、ですよね……」

視線を前へと戻したドクオの顔に迷いは無い。
受け入れると、決心した表情。

ξ´^ω^`)ξ「ほうらお食べなさい。貪りなさい」

其れを迎えるは、ドクオの口先でクッキーを揺らす、可憐なるショボ代の天使の様な笑み。
その細められた眼の奥に揺れるは黒い炎。

(*'A`)「は、はい」

一つの表情に秘められた二面性に、ドクオは思わず心を揺らす。
ドクオ、生涯初のギャップ萌えであった。

(*'A`)「ところで……」

ξ´^ω^`)ξ「なあに?なあに?」

(*'A`)「これって、もしかして薬とか入ってるんですか?」

ξ´^ω^`)ξ「媚薬が入ってるけど……貴方はモルモットなんだから気にしなくていいのよ。いいのよ」

(*'A`)「そうですか!いただきます!」

言うが早いか、ドクオの頭部が前方へと振り下ろされた。
大きく開かれた口が通過した空間から、クッキー、そしてショボ代の指が消失。

ξ´^ω^`)ξ「およよ。およよ」

一拍遅れて溢れ出す血流。
ドクオの眼に映る、肉の断面より舞う血飛沫は、まるで風に花弁を散らす薔薇の花の様。

だが――

(;'A`)「なっ!?」

――ドクオがその様に思わず見とれた直後、ショボ代の体が人の手に触れた淡雪の如く、消失した。

ξ;´・ω・`)ξ「全ては残像なのよ。そうなのよ」

ショボ代の姿はドクオの背後。
その額からは止め処なく脂汗が流れ、その足元に赤い雫が染みを残す。
身体に不具合が生じた事が見て取れるが、ショボ代は動きを淀ませる事無く攻撃動作に移る。

彼女の左手、その五指の間には――新たなる、四枚のクッキー。
それが、左手だけとは思えぬ速度で矢継ぎ早にドクオへと投擲される。

ξ;´・ω・`)ξ「そいやっさ。そいやっさ」

(*'A`)「おいしいよ!ショボ代さんの手垢の味がたまらないよ!」

ドクオはそれを一片すら逃すまいと縦横無尽に飛び交い、超高速で咀嚼する。
そして、二十数枚目のクッキーを口内に取り込んだ瞬間、

(;'A`)「ぐぇぁっ!」

ドクオが呻きながら膝を付いた。
のどちんこにクッキーが直撃したのだ。

生えている場所が違えども、ちんこはちんこ。
デリケートな器官である事に違いは無いのだ。

ξ;´・ω・`)ξ「ぽうれ。ぽうれ。ぽぽぽぽぅーれ」

その体勢を好機と判断したのだろう。
ショボ代は身体を高速回転させながら、膝を付いたドクオに更なるクッキーを投げつける。

(;'A`)「ちくしょう……チクショォ――――!」

ドクオにそれを避ける術は無く。
彼は叫びを上げながらクッキー全弾をのどちんこに喰らい、そのまま沈黙した。

ξ;´・ω・`)ξ「……危ないところだったじゃない。ピンチだったじゃない」

倒れ伏したドクオを見つめるショボ代の頬を、汗が一条伝う。
そして、彼女のスカートの内より赤い液体が滴り落ちる。

俗に言う、女の子の日であった。

ξ#´・ω・`)ξ「フンッ!フンッ!」

気合と共にショボ代の股からの血は止まった。
鍛錬の賜物である。

~~~

――気付けば昼休みは終わり、既に日は傾き始めていた。
だが彼女らは気にしない。

何故なら、

ノハ,,゚Д゚) ゚∀从 「「「「いくら勉強できても結婚できなきゃ意味ねーよバーカバーカ!」」」」 (^ω^ξ(´・ω・`ξ

と本気で思ってる人種だからだ。

('A`)「えと、それじゃあ……」

从 ゚∀从 「アタイの番だッ!よっしゃ食えッ!」

トリを勤める事となったハインリッヒ。
彼女が手にするのは、昨晩夜なべして製作したクッキー。
それがドクオに差し出されんとした時――

||||
川 ^ω^)「うひょおおお!」

ミ,,゚Д゚彡 「おけけがー!おけけがー!」
 @@@
ξ´・ω・`)ξ「激しいのよ。たまらんのよ」
wwww
( ゚∀゚) 「ぬわー」

一陣の風が吹いた。其れは、まさに神風。
風によって、一瞬スカートが捲れ上がる。

晒されるはホライゾ美の四股名の刺繍されたマワシ。
ショボ代の赤黒く染まったレース付きショーツ。
ギ子の臍まである熱帯雨林。
ハインリッヒのもう紐としか言い様の無い、下着かどうかさえ分からない何か。

彼女らは誰一人として、自身の下半身が晒された事を気付かない。
気付いたのは只一人。

(#゚A゚)「我が眼よッ!全てを見通せ――――ドクオ・ザ・モーメントッ!ショォォォォォォツ!」

一瞬を脳裏に焼き付けたドクオの身体を、血流が激しく巡る。
それは、ショボ代のクッキーに混ぜられた薬物の効能を著しく促進させ――

从 ゚∀从 「っと、そんじゃ改めて……」

(;'A`)「あ、あの……」

从 ゚∀从 「どしたよ?ハインちゃん特製クッキーが食えないと言うのかい?」

(*'A`)「ちょっとタンマです!」


――ドクオの性欲に火を点けた。


从;゚∀从「ちょっ、待てよ!」

ハインリッヒの静止も聞かずにドクオは走り出す。
彼が向かう先はただ一つ。

校舎裏にひっそりと立つトイレット。
阿部様が見てると噂に名高いトイレットだった。

(#゚A゚)「唸れ右手よッ!全てを切り裂く雷光の如くッ!ドクオ・ザ・ライトニングアァァァァム!」

直後、トイレは消滅した。

――それから数分後。

「お待たせいたしました」

从 ゚∀从「全く……レディを待たせるたあ、いい度胸し……て……」

ドクオを視界に納めた瞬間、ハインリッヒは言葉を失った。
一瞬ときめいた。気のせいだった。

(`A`)「どうかなさいましたか?」

彼女の前に立つドクオは、不細工なまま。
だが――その眼には強い意志。
満ち溢れるは、ある種の威厳。

その挙動は、全裸であるにもかかわらず日本舞踊の家元を思わせるほどに優雅。
そして、全身から香り立つは栗の花の芳香。
見た目は変わらぬものの、その内面は数分前の挙動不審なドクオとは一線を画していた。

――ドクオの変化の要因。
それは、謎の物体、ホウ酸団子、謎の薬品、そして――聖人タイム。

それらが奇跡的な確率での出会いを果たし、ドクオの血を覚醒させたのだ。
古より連なる和の紳士――華族の血を。

从 ゚∀从「いや……なんでもねえ」

ハインリッヒは確信する。
今のドクオから評価を勝ち得たならば、それはこの闘争の勝者と同義であると。

从 ゚∀从「それよりさっさと食いなッ!」

(`A`)「では……ほぅ、良い仕事をなされておりますね。どれほどの手間を掛けられた事か……」

从 ゚∀从 「……わかるかい?」

(`A`)「ええ。そして、このクッキーには――ッ!」

突然、ドクオが眼を見開き、言葉を止めた。
その身体が小さく震え、手にしていたクッキーを取り落とす。

从;゚∀从 「おい!いったいどーしたってんだよ!?」

ドクオはハインリッヒの言葉など聞こえていないかの様に天を仰ぐ。
その顔には深い後悔の念。

(`A`)「…………コレは、私如きが食べてはいけないものだった」

ドクオの口から漏れたのは、腹の底から絞り出すような声。
己のやった事が、取り返しのつかない行為だと言わんばかりの声。

从;゚∀从「お、おい!どういう意味だよ!?」

(`A`)「言葉通りの意味です。コレを食べていいのは、この味を知っていいのは……貴方の想い人だけであろうに……」

堰を切ったかの様に、ドクオの眼から涙が溢れ出す。
華族として覚醒した彼の味覚が、味以上の物を感じ取ってしまったのだ。

ハインリッヒがどれほどの想いを込めてクッキーを作ったのかを。

実はおばあちゃんっ子で、週に一回は肩を叩きに行っている事を。

冬は毛糸のパンツが標準装備である事を。

母さんにありがとうと言いたくても恥ずかしくて言えない事を。

自慰行為に目覚めたのがつい最近である事を。

勝負下着がギリギリ局部を隠すローレグである事を。

そして――産まれた時、標準より体重が少なくて両親を心配させた事を。

華族の血に目覚めたドクオだからこそ、知覚してしまったのだ。

(ノA; )「私は……コレほどまでに深い愛情の込められた菓子を……食べた事がありません」

涙を拭うドクオの言葉はまさに最上級の賛辞。
これ以上の言葉は、必要なかった。

从 ;∀从「そこまで言ってくれるたぁな……」

川 ;ω;)「悔しいけど、ボクの負けだお……」

ξ´・ω・`)ξ「媚薬の効果が確認できなくて残念なのよ。そうなのよ」

ヾノハ,,゚Д゚)シ「ハインー!あとでちょーらーい!」

――ハインリッヒ高岡。
彼女は勝利の喜びを噛み締めながら、右拳を大きく天へと突き上げた。


そして翌日、

从 ;∀从「ギ子……全部食っていいとは言ってねえぞ……」

ヾノハ,,゚Д゚)シ「たりなーい!もっとちょーらーい!」

第一闘争完結ッ!

ヾノハ,,゚Д゚)シ「おかーさんおかわり!」

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ひちょりまちょめ

Author:ひちょりまちょめ
コテ酉無しです。
でも一話の最後見たらすぐ分かる仕様です。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。