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从 ゚∀从達 は闘争の中でこそ輝くようです  第五話

―― 一つのベッドに、菊花で満たされた花瓶の置かれた一つの棚。
そして、二脚の椅子に――沈痛な面持ちの三人の女性。
其処は、真っ白な病室だった。

幾らか開けられた窓より、一陣の風が吹き込んだ。
風は、カーテンと彼女らの髪をなびかせる。

誰も、その乱れた髪を直そうとはしなかった。
三者揃って、口に入った髪の束を除こうとはせず、ただ数度、粘ついた音を立てて咀嚼した。

そして、誰かが「うめぇっうぇ」と呟いた。
つられるように、誰かが「この中にVIPPERがおる。お前やろ?」と呟いた。
返答は、無かった。

从 -从 「……」

病室のベッドで、ハインリッヒは項垂れる。
握り締めた拳より滲み出た紅は、掛け布団のシーツをその色に汚す。

ベッドの背もたれに寄りかかる彼女の下半身、そこを覆う布団の内で、ぷすぅ、と小さく音がした。
部屋の静けさ故に、ぷすぅ、という、蚊が鳴いたかの様なか細い音は容易く三者の耳に届く。
そして、ぷすぅ、と云う音と、漂い始めた温泉卵に似た香りに、声を発さぬまま揃い揃って眉を顰めた。

lw´- _-ノv 「……すまんね。私の人間性能では1フレームの壁は打ち崩せなかったよ」

ハインリッヒの傍らで呟かれたシューの言葉は、彼女には届かない。
その耳は風孔の如く、右から左へとシューの言葉を受け流す。
だが、同時に指弾の如くシューの手から放たれた煎り米は、ハインリッヒののどちんこを的確に捉えていた。

从; д从「ゴェッ!ゲフッガハッ!」

川  - ) 「すみません。私が無理にでも彼女らを連れ出していれば……」

从; д从「ゲフッ!ゲフッ!ガハッ!」

謝罪の言葉と共に、そっとハインリッヒの手に重ねられたクーの右手。
絶望にその身を浸すハインリッヒは、その掌の温もりに尊さを感じた。
だが、

从; д从「やめっ!ゲフッ!ゴホッ!」

川 - )「……ッ!」

ハインリッヒはその温もりを拒絶した。
絶望の輪郭が崩れるのを恐れるかの様に、小さく首を振って。
そして胸へと忍び寄るクーの逆の手を払いのけて。

痛ましい其の姿にシューは目を伏せ、小さく尻を浮かす。
クーもつられるかの様に目を伏せ、尻を浮かす。

lw´- _-ノv 「……クーちゃん、今は一人にしてあげよう」

川 - )「……はい」

布越しに、空気の抜ける音がした。
髪の束が咀嚼される音と共に、ドアの閉じられる音が部屋に響いた。

そして、おでんの卵に似た硫黄臭の残された白い部屋で、ハインリッヒは一人きりになった。

从; д从「ゲホッ!ちょっ!くさっ!」

ハインリッヒは吐き気を堪えながら前を見つめる。
心中に渦巻くは、友であり好敵手である者たちを失った絶望。
その絶望は余りに深く、笑えるほどに救いと云うものが存在しなかった。

――ハインリッヒにとって、彼女らと切磋琢磨することは生き甲斐に等しかった。
彼女らとの闘争の時こそが人生の喜びとすら感じていた。

从; д从「ぉぅ……ぃぇぃ」

その生き甲斐が、理不尽な理由により奪われた。
簡単に、納得できる筈がなかった。



最終闘争 前 『彼女が無くしたもの』



――数日経てども、ハインリッヒにいつもの活力が戻ることは無かった。

从 ´д从 「……ハァ」

眼下に隈を作り、幽鬼の如き挙動で足を進める。
そして、教室に着くや否や、自身の腕を枕に惰眠を貪り続ける。
まるで、いつもの如く友人達が起こしてくれるのを待っているかのように。

(;゚ー゚)「ねぇ、ハインってあんな感じだったっけ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「いつもはちょっと煩い位じゃなかったかしら……」

クラスメイト達は数日振りに登校してきたハインリッヒを訝しげに見はするものの、誰も声を掛けようとはしない。
変人扱いされてる奴に好き好んで声をかける奴なんぞ、そうはいないのだ。
そう、いつの世も世間は異端に冷たいのだ。

从 ´д从 「……モナ?」

ハインリッヒが机から顔を上げた時、既に授業は終わり、日は傾き始めていた。
視線を下ろせば、乾いた涎によって異臭を放ち始めた制服の袖。
彼女は俯いたままその香りを嗅ぎ、声を出さずに泣いた。

――夏が過ぎ、秋が訪れた。

从 ´八从「……」

余りに無気力な生活を送っていたせいか、ハインリッヒの口元には髭が生えていた。
しかし、それが乙女にあるまじき現象であるにも拘らず、彼女は髭を剃ろうとはしなかった。

从 *´八从「むふー」

エンゼルリングの浮かぶ艶やかな黒髭。
其れはまるで濡れた烏の黒羽のような妖艶な美しさ。
それを一撫ですると、彼女は満足そうに頷いた。

――ハインリッヒは一瞬剃ろうかと考えはしたのだ。
しかし、これほどに美しい髭を剃るなど、美への冒涜である。
己の口を覆い隠し、爪先に届かんばかりの長髭を撫でながら、彼女はそう考えたのだ。

从 *´八从「……もふっ」

髭に指を絡ませながら通学路を歩むハインリッヒ。
彼女が一歩足を進めるたびにその髭は艶かしく揺れる。

ξ*゚⊿゚)ξ「……ズキャン!」

(*゚ー゚)「……ズキュン!」

('、`*川「……ズキョン!」

(*∵)「ゴェ!」

その美しさに道行く乙女達は足を止め、思わず見惚れる。
だが、ハインリッヒは乙女たちの熱い視線に気づかない。

从 *´八从「……もふもふっ」

ただひたすらに髭を弄り続ける。
時折髭を咀嚼しつつ、彼女はいつものように学校へ向かう。

そして、学校に到着して彼女は気付いた。

从 ;´八从「……もふ」

今日が日曜である事を。
覇気を失った彼女の思考は、明らかに鈍化していたのだ。

――そして、中の人がモンハンを430――否、500時間ほどやっている内に冬が訪れた。

从  ´八从「……もふー」

ハインリッヒはとぼとぼと廊下を歩いていた。
生気を感じさせぬ其の姿は、まるで萎れた彼岸花のよう。

それ故に、神々しさすら感じさせる其の髭は一際異彩を放つ。
まさに掃き溜めに鶴。歪な、歪であるが故に成立した芸術が、そこに存在していた。

――芸術とは人を惹きつけるものだ。
だからこそ、愛好者と云う者が生まれる。
今のハインリッヒもまた例外ではない。

ヾξ*゚⊿゚)ξシ「まってー!」

ヾ(*゚ー゚)シ「ハムハムさせてー!!」

ヾ('、`*川シ「ころしてでもうばいとるー!」

ヾノハ*∵) シ「ゴェェェェェ!」

从; ´八从「……もふ」

ハインリッヒの後ろを誇らしげに歩む数名の女生徒。
シュラク隊と自称する彼女らもまた魅了されたのだ。
ハインリッヒと云う芸術に。

从; ´八从「……もふぅ」

だが、ハインリッヒは戸惑うばかりだった。
自分とは余り関わり合おうとしなかったクラスメイト達。

今まで腫れ物を扱うようにしか接してこなかった彼女らの態度の変化。
それを、ハインリッヒは疎ましく思っていた。

しかし彼女とて――既に朽ち果てた存在でる彼女とて人間なのだ。
一応の常識くらい持ち合わせているのだ。
それに一度くらいちやほやされたいのだ。

故に、彼女はうろたえながら解決案を探す為に思考を巡らす。
しかし、常にまどろみの中にあるような頭では、納得できるような結論が出るはずも無く。
結果、

从; ´八从「……ふもっふぅ」

ハインリッヒは溜息を漏らす事となった。


ヾξ*゚⊿゚)ξシ「そーれわっしょいわっしょい!」

∩*゚ー゚)`)「よっさほいよっさほい!!」

('('、`*川∩「らっせーらーらっせーらー!」

∩ハ*∵)`)「げふぅ!がはぁ!」

从; ´八从「もふうぅ……」

着替えタイムを挟み、捻り鉢巻にハッピ褌姿のシュラク隊が作った騎馬の上で揺られながら。

一昔前の彼女であったならば、額に青筋を浮かべてクラスメイト達に啖呵を切っていただろう。
燃え滾る闘争心を胸に抱いていた彼女ならば、歯を剥いて抗っていただろう。

だが、今のハインリッヒの胸の内には、過去に燃え盛っていた炎の燻りすら残ってはいない。
只流れに身を任せ、されるがままに体と髭を揺らす。


――今のハインリッヒは生きていながら死んでいる。
喩えるならば惰性と習慣に身を任せたウ○ンコ製造機でしかない。
髭が本体で身体はオマケと云う説すら生まれてきていた。

ヾξ*゚⊿゚)ξシ「おーらどけどけー!」

∩*゚ー゚)`)「死にたくない奴はどけぇー!!」

('('、`*川∩「おらおらー!この御威光に涙しとけー!」

∩从*'ー'从`) 「あれれー?むねがどきどきするよー?」

∩川*д川`)「……」

('ζ(゚ー゚*ζ∩「ヒャッハァー!益々そのお髭が食べたくなったぜぇー!」

∩セ*゚ー゚)リ`) 「ジョインジョインジョイントキィー!」

∩ハ*∵)`)「ごえっ!ごえぇぇぇぇぇっ!」

諦めの表情を浮かべたハインリッヒを担いだ騎馬は、威勢のいい掛け声と共に廊下を練り歩く。
歩むごとに囲む人は増え、それに伴う喧騒もじわりじわりと大きくなる。

从; ´八从「……もふ」

三段重ねとなった騎馬の頂上で、時折額を蛍光灯にぶつけるハインリッヒ。
彼女はようやくこの状況に異常性を感じ始めたのか、髭の下で頬を引き攣らせる。

だが、もう遅い。
群れは長く太く連なり、祭りの如き熱気を帯び始めている。
既に彼女一人が留めた所でどうしようもない状況。

ハインリッヒの胸中で、不安は澱の如く蓄積され、大きさを増す。
この状況が、更なる混沌の呼び水となるのではないかと云う嫌な予感が、彼女の脳裏をよぎり――

从; 八从「……ッ!」

――ハインリッヒは、全身の毛が逆立つような感覚を覚えた。
その周囲で小さな悲鳴が上がり、群れの足並みが停止したのはほぼ同時。
気勢の声は止まり、動揺は群れ全体へと広がる。

そこにいた者らが感じたのは威圧。
威圧は五感を奪わんばかりに強く、眼前で銅鑼を鳴らされているかの如き錯覚を覚えさせたのだ。

直後、正面、体育館へと続く扉が大きく開かれた。
その先にあったのは――

∩*^ω^)`)「ぼんじゅーる」

∩*´・ω・`)`) 「じゅてぃーむ」

∩*,゚Д゚)`)「だんぼーる」

∩*・∀・)`)「あふたぬーん」
   _
∩* ゚∀゚)`)「えくれーる」

∩*´∀`)`)「ら・よだそう・すてぃあーな」

∩;ФωФ)`)「るねっさーんす……なんで、我輩が……」

――多数の男子生徒と一人の中年男性によって構成された人のうねり。
胸に薔薇を挿した紳士服を纏い、ティーカップを掲げる一団。
人数、気勢、共にハインリッヒたちと互角――

――否。其れは現時点、相対したこの瞬間に於いての話。
男衆の気勢は、まるで終盤のジェンガの如き、オナ禁一ヶ月経過時の逸物に似た危うさを秘めている。
その危うさは、ハインリッヒたち女性陣に生理的嫌悪を覚えさせた。

故に、ある者達は冷や汗を滴らせ、またある者達は歯を剥いて青海苔を覗かせる。
威圧は、ティガレックスに初めて相対した瞬間の如き、弱者に自身の無力さを思い知らせんばかり。

ヾξ;゚⊿゚)ξシ「クッ……きたなプレッシャー!」

∩;゚ー゚)`)「上……いやっ、正面かッ!」

('('、`;川∩「戦闘力二万……だと?」

∩从*'∀'从`) 「あれれー?オラわくわくしてきたよー?」

∩川*∀川`)「ふふ……私ら愛馬は凶暴ですよ?」

('ζ(゚∀゚*ζ∩「ざわ‥‥‥ざわ‥‥‥!」

∩セ*゚∀゚)リ`) 「ジョインジョインジョイントキィー!トキィー!トトトトキィー!」

∩ハ*∵)`)「ごぇぇ!げふぅ!がはぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

それでも尚、逃げ出した者は皆無。
乙女の一団は一様に闘志の炎を眼に宿し、自身の内に生じた熱さを堪えきれぬかの様に熱い吐息を漏らす。

――威圧が強大であったが故に。
それに耐え切った者達の魂を刺激し、その闘争心を一気に沸点まで押し上げたのだ。

从#゚ハ从「…………」

その頂に座すハインリッヒもまた例外ではない。
堪えきれぬ衝動にその身を小さく震わせ、夢現を彷徨っていたかのような眼が大きく見開かれる。

鈍化していた筈の頭脳は、まるで氷を呑んだかの如く覚醒。
其の思考と対照的に、精神は赤に塗り潰される。闘争の色に、全身を駆け巡る血潮の色に。
やがて全身は熱を帯び、その頬は桜色に染まり始める。

――その感覚はハインリッヒが久しく味わっていなかったもの。
二度と感じれぬであろうと諦め、忘れ去ろうとしていた感覚。

喩えるなら、魂以外の全てが別物に置き換わる様な、歪な快感。
久々の背筋を駆け上がるような快感に、ハインリッヒの髭の下で唇が喜悦に歪む。

从#゚ハ从「……」

据わった両の眼が睨むは、相対する男衆の中央。
只一人馬に跨り、只一人ワイングラスをくゆらす存在。

( )「……」

lw「馬」´- _-ノv ひひーん

男女の身長差故に、馬が黒王号を髣髴とさせる程に巨大であるが故に、頂点の男の頭は天井に溝を作り、今尚埋まっている。
それでも、男から放たれる気迫は業火の如く苛烈、且つ、澄み切った夜空に浮かぶ満月の如く優美。
男の並みならぬ気風に、ハインリッヒは思わず歯を剥いて笑う。

从#゚ハ从「ふもーっふもっふもっふもっ!」

( )「ふふっ……」

――男が天井より顔を引き抜いた。
さりげない仕草の中に、生まれ持った気品を漂わせる男。
そう、彼は――

(`A`)「お久しぶりですね、高岡さん。ご機嫌いかがですか?」

儚さと哀愁と気品を併せ持つ不細工――ドクオ。
一触即発の雰囲気の中にありながら他人への気遣いを言葉の端に匂わせる辺り、育ちの良さを窺わせる。

从#゚ハ从「……もふっ!もふもふもっふ!」

(`A`)「ふふっ、それは良かった」

从#゚ハ从「もふもふもふもっふ!」

(`A`)「ほう、なるほど――」

微笑みを浮かべながら、ドクオは小さく頷く。
そして、顔を上げた時――

(゚A゚)「其の言葉、宣戦布告と受け取らせていただきます」

――ドクオの顔から優しげな笑みは消え、其の眼に宿るは闘志の炎。
威圧に呼応するかの如く、乱れた髪は完璧なるオールバックへと変貌。

(゚A゚)「きゅいいいーん!がしゃっ!がしゃんがしゃんがしゃん!」

ドクオの口より紡がれる効果音と共に、塵を被ったタキシードは脱ぎ捨てられ、羽毛の如く華麗に宙を舞う。
そして、数瞬置かぬ間にドクオは純白のタキシードを身に纏い、更にはお揃いのシルクハットを被り、ステッキまで手にしていた。

('A')「あいむ――じぇんとるめん おぶ じぇんとるめん」

高らかに宣言するドクオの姿に、誰しもが言葉を失った。
一人の例外も無く、其の姿に表情を強張らせ、呆然と見つめていた。

――只独りの例外も無く、理解したのだ。
死装束を思わせるタキシードの湿りを帯びた股を見て、ただ、理解したのだ。

lw「Horse」´- _-ノv うわぁ……背中が気持ち悪いよぉ……

今ここに、真なる紳士が降臨したのだと。
華族と云う亜流より原点回帰した存在が今ここに在るのだと。

そう――其れは真祖と云うべき存在。
変態と云う名の紳士が今この瞬間、爆誕したのだと。

そして――

∩*^ω^)`)「……ちょっと雉撃ちに」

∩*´・ω・`)`) 「……同じく」

∩*,゚Д゚)`)「……以下同文」

∩*・∀・)`)「あ……やばいかも」
   _
∩* ゚∀゚)`)「……でそう」

∩*´∀`)`)「……あっ」

∩ ^ω^)`)「……え?」

∩´・ω・`)`) 「……え?」

∩,,゚Д゚)`)「……え?」

∩ ・∀・)`)「もしかして……」
   _
∩ ゚∀゚)`)「……手遅れ?」

∩*´∀`)`)「う……うん」

まあ――そう云う事で一時中断となった。

後編へ続くッ!

とぅーびーこんてぬー!

m9(*ФωФ*)9m

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ひちょりまちょめ

Author:ひちょりまちょめ
コテ酉無しです。
でも一話の最後見たらすぐ分かる仕様です。

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