スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

( ^ω^)は28歳になったようです 一話

――あの頃のボクは、若かった。
身に余るほどの好奇心と衝動を持て余していた。
そして、恐れを知りながらも、それに立ち向かう勇気を持っていた。

何も知らない子供だった。
何も知らないからこそ、夢を持っていた。
己の知らぬ何かに、希望を抱く事が出来たんだ。

あの時、ボクは18歳だった。
子供と呼ばれるには歳を重ね過ぎ、大人かと言われれば幾許か至らない。
そんな時代が、ボクにも確かに有ったのだ。


第一話『現実』



――手を、止めてみた。
屹立した逸物を扱き上げる右手を、離してみた。

何故止めたのか。などと問われたとしても、ボクは、何となく、としか言葉を返せない。
本当に何となく止めてみただけであり、深い意味など無いのだから。

( ^ω^)「…………」

一分待てども、五分待てども衝動は無かった。
その間に逸物は萎び、皮を纏い、まるで部屋の隅に投げ捨てられた靴下の如き情けない様相を晒す。
部屋の寒さに縮み上がった玉袋は、開店から閉店までの十時間耐久レースを完走した回転寿司の稲荷の様。

( ^ω^)「……へっ」

思わず、苦笑いが漏れた。
空しさと虚脱感が、ボクの心と身体を包む。
嫁が子供を連れて実家に遊びに行っているから、と励んでみた結果がこれだ。

久方振りの自慰行為。
大好物である筈の特選虹炉本を選択しておきながら、この様である。

魔が差した。などと云う言い訳は通じぬであろう。
十年前のボクならば、たとえ一時間置いていたとしても萎びる事は無かった。

いや、一分我慢しただけで逸物の先端から汁は迸り、焦らされる事により興奮はより一層高まっていただろう。
そして禁を解かれた瞬間、己は淫欲に取り付かれた獣へと変貌していただろう。
獣と化した己は、右手、左手、ダブル、床オナ、股挟みのオナイアスロンを完走していたに違いない。

だが――――今この時、逸物は己の股間で残念な姿を晒すばかり。
数度声を掛けて見たものの、ピクリとさえ反応しない。
声の掛け方が甘いのかと、松岡修造張りに叱責してみても、気合の1パーセントも伝わる事は無かった。

その様は、腑抜けそのもの。
灰皿に押し付けられたタバコの吸殻の方が、まだ気合が入っている。

( ^ω^)「……こいつが、歳を取るって事かお」

自身の言葉が予想以上に心に沁みた。
そうだ、己はもう二十台半ばとは言えぬ歳なのだ。

齢は二十と八、そして九ヶ月。
肉体的には何も問題は無い。
むしろこれからが最盛期と言えるだろう。

が、心は明らかに老いた。
十年前の自身とは比べ物にならぬ程に。

純粋さと衝動を失った。
社会で働き日々の糧を得る生活の中でそれらは磨り減り、自身が気付かぬ内に失われていた。

( ^ω^)「でも……仕方ないと思うんだお」

ボクは自身に言い聞かせるように呟く。
今のボクには、守りたいものがある。
自分自身より大切なものがあるのだ。

純粋であると云う事は、美辞麗句に飾り立てられた言葉をそのまま信じるという事に繋がる。
そんな事では、海千山千の猛者であるセールスマンやオレオレ詐欺から家族を守れる筈も無い。

衝動を抱くという事は、傾倒の余り家族を蔑ろにする事に繋がる可能性もある。
この世で一番大切な嫁と娘。それを蔑ろにする己など、想像するだけで虫唾が走る。

( ^ω^)「これで、いいんだお」

これでいいのだ。ボクは間違ってはいない。
口中で、同じ意味の言葉を何度も繰り返す。
ボクは、望んで今の自分になったのだから。

( ^ω^)「…………」

眼前で、拳を握る。
十年前のあの時、幾度と無く衝き上げたあの拳を。

――衝き上げてみようか。あの時のように。
腹の底から、魂を震わせる叫びと共に。

そんな思いが脳を巡ったとき、玄関のドアを開く音が耳に届いた。
直後聞こえたのは、

从 ゚∀从 「たーだいまー!」

从*゚ω从「みゃー!」

愛する妻と娘の元気な声。
その声はボクの意識を現実に引き戻す。
知らずの内に、拳は解かれていた。

一家の主として、おかえりを言わなきゃ。
と、ボクは抱きついてくる娘の感触を想像しながら、頬の緩んだ表情で玄関へと向かったのだ。

一話『副題:自分が全裸だと思い出したのは、嫁の掌が視界を埋めたその時で――』

コメントの投稿

非公開コメント

[No title]

まってました!

No title

まさかの続編にwktkを禁じえない
プロフィール

ひちょりまちょめ

Author:ひちょりまちょめ
コテ酉無しです。
でも一話の最後見たらすぐ分かる仕様です。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。