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( ^ω^)は28歳になったようです 三話

――老いたるは己のみにあらず。
友、そして伴侶もまた、同じようにその身に時を刻み続けてきた。

そう、時はというものは公平に、無慈悲と思える程に平等に、全ての者へ刻まれる。
抗う事が、無為と思えるほどに。


三話『流刻』



( -ω^)「……」

ボクはソファーに寝そべり、寝ぼけ眼で天井を見つめる。
ああ、うたた寝してしまったか。などと思いながら再び目を閉じようとして、その動作を止めた。

耳に届くのは、点けっぱなしのテレビから流れる笑い声。
そして、鋭い呼気と、パンッと云う小気味良い破裂音。

視線を音の方へと傾ければ、

从;゚∀从 「フッ!ハッ!」

从;゚ω从 「にょっ!にゃっ!」

リビングの中央に並び立つ、薄く汗をかいた嫁と娘の姿。
繰り出される拳は、延びきる瞬間に空を破裂させる。
放たれる蹴りの先端は、大気の裂け目を視認出来る程に、激しく切り裂く。

(;^ω^)「……」

嫁は――ハインはまだ分かる。
中学、高校時代に数々の伝説を残した彼女が人外の領域であった事は、当の昔から理解している。
しかし、だ。齢三歳の娘までが人外の領域に至っているとは、予想外にも程がある。

技術、威力共にハインには至らぬとしても、一挙一足のキレと風切音は、格闘漫画の主役を張れるレベル。
反抗期になったら、父親としての威厳も糞も無いだろうな。などと思いながら、ボクはそっと瞼を閉じ――

从 ゚∀从 「よーし、おとーちゃん起きたし相手してもらえ!」

从*゚ω从 「あーい!おとーたんしょーぶ!」

( -ω^)「……え?」

オーケー。落ち着け、落ち着くんだ内藤ホライゾン。
さっきのは空耳だ。こんなに可愛い愛娘から、勝負だなんて物騒な言葉が出る訳が無いじゃないか。
きっと抱っこしてほしいだけに違いない、と身体を起こし、

⊂从*゚ω从⊃ 「おとーたん!いくよー!」

(*^ω^)「お……おぉ!?」

ボクの視線の先には、両の腕を大きく広げた娘の姿。

その構えは、あの時の己と同じ姿ではないか。
娘の前で一度たりとも見せた事の無い、ボクの唯一にして最高の技を繰り出す構えではないか。
ああ、これはきっとボクの血が色濃く継がれたことの証、なのだろう。

などとと思った時既に、その小さな身体はボクの懐。
思わず腑抜けた表情で、娘を抱きしめようとしたその時、

(*^ω^)「お……おー」

从*゚ω从「しぇーの!てゃんけー!」

掌をボクの腹部に当てた娘は、掛け声と共に震脚。
同時に腰を落とし、全関節を加速。放たれたのは、背に抜ける衝撃。
その威力は、嫁のパンチがクリティカルであった時と同等。

(;゚ω゚)「ぉぶぉっ!」

膝が、己の意に反し、電マ最大振動時の如く、激しく震える。
同時に、体内より逆流する感覚。

本能が告げる。このまま倒れてしまえ、このまま意識を手放してしまえ、と。
それが出来たなら、吐瀉物を撒き散らしながら気絶できたなら、少なくともこの苦痛からは逃れる事が出来るだろう。
しかし――

从*゚ω从「おとーたん、きいた?ばーん!ってきた?」

(;゚ω゚)「ぜ……ぜん、ぜ、ん、効かな、い……お!」

――ボクは、軋むほどに歯を食い縛りながら耐える。
ボクを誰だと思っている。ボクは、この子の父親なのだ。

この一撃は娘が健康に育っている事の証明。
それを耐えきれずして、何が父親か。三歳児の一撃を耐え切れぬ大黒柱に、何を支える事が出来よう。

そして、我が家に於ける二番手の座を、娘に譲る訳には行かぬ。
親として、娘を導く立場の者として、一家の底辺となる訳には行かぬのだ。

だからこそ、無理をしてでも強がらねばならない。
娘の前で膝を折る訳には行かない。吐瀉物を、一滴たりとて漏らす訳には行かないのだ。


が、

从*^ω从「じゃあもっかい!」

三話『副題:無邪気な笑みを浮かべる娘の一言が、ボクを絶望させたのだ』

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No title

子供の無邪気な残酷さに吹いたwwwwwwwww
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Author:ひちょりまちょめ
コテ酉無しです。
でも一話の最後見たらすぐ分かる仕様です。

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